11月20日は国連が定めた「世界こどもの日（World Children’s Day）」で、 1989年のこの日に「子どもの権利条約」が採択されたことを記念した日で、子どもたちの相互理解と福祉を増進させることを目的としています。

今日はこの「世界こどもの日」にちなんで、意外と知られていない「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の違いについて、お話しします。

2つの「養子縁組」の違いとは？

民法には、大きく分けて2種類の養子縁組制度があります。 似ているようでいて、その「目的」や「実親との関係」は全く異なります。

・普通養子縁組（ふつうようしえんぐみ）
一般的に「養子」と言うとこちらを指すことが多いです。
主な目的: 「家の跡継ぎが欲しい」「再婚相手の連れ子と親子になりたい」「孫を養子にしたい（相続対策など）」といった、大人の都合や家の存続が理由になるケースも含みます。
実親との関係: 切れません。
養子になった後も、実の親との親子関係は続き、実親の相続権も残ります。つまり、実親と養親の「二重の親子関係」を持つことになります。
戸籍: 「養子」と記載され、実父母の氏名も残ります。

・特別養子縁組（とくべつようしえんぐみ）
こちらは、「子どものための」制度と言えます。
主な目的: 虐待や経済的理由など、何らかの事情で実の親が育てられない子どもに、温かい家庭（恒久的な親子関係）を与えることが目的です（子の福祉の優先）。
実親との関係: 法的に完全に終了します。
実の親との親子関係はなくなり、養親が唯一の親となります。
戸籍: 原則として実親の記載はされず、「長男」「長女」のように実子と同じような記載ぶりになります（※身分事項欄には特別養子縁組である旨が記載されます。里親制度とは異なります）
家庭裁判所の審判が必要で、原則として子どもは15歳未満であるなど、厳しい要件があります。

特別養子縁組は、近年法改正が行われ、対象年齢が引き上げられるなど、より多くの子どもたちが家庭養育を受けられるように制度が変わってきています。

相続や遺言のご相談を受ける際、「実は養子縁組をしていて…」というお話が出ることは稀にあります。その際、それが「普通養子」なのか「特別養子」なのかによって、相続人の範囲や遺留分などが大きく変わってきます。

制度の違いを正しく理解することは、将来のトラブルを防ぐだけでなく、子どもの権利、子どもの未来を守ることにもつながります。