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【終活事始め】⑦遺言書の「紛失・偽造」を防ぐ!自筆証書遺言保管制度について

今回のシリーズも7回目になりました。

昨日12月11日、本ブログをお休みしていたのは、セミナーを開催していたからです。
年に20回以上セミナーや説明会で遺言書の書き方について話していますと、
「どこに置いておけばいいか?」
「無くしてしまいそう!」
「公正証書遺言は手数料がかかるでしょ」
などのご質問をいただきます。
その際は、「自筆証書遺言書保管制度(じひつしょうしょいごんしょほかんせいど)」を紹介しています。
本日はこの制度について説明いたします。

  1. 自筆証書遺言書保管制度とは?

自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)を自宅で保管される場合、紛失や、発見されないリスク、あるいは悪意のある相続人による破棄・改ざんのリスクがありました。
2020年7月10日に始まったこの制度で「あなたが書いた遺言書を、法務局が責任を持って管理してくれる」サービスです。

  1. この制度のメリット

① 紛失・偽造の心配がゼロに
法務局に預けた原本は、50年間も保管されます。さらに画像データ化された情報は150年間保管されます。 法務局という厳重な場所で管理されるため、紛失はもちろん、誰かに書き換えられたり捨てられたりする心配がありません。

② 手続きがスムーズ(検認が不要)
通常、手書きの遺言書が見つかった場合、家庭裁判所で「検認(けんにん)」という手続きを経なければ開封できません。これには数ヶ月かかることもあります。 しかし、この制度を利用した遺言書は「検認が不要」です。相続発生後、すぐに手続きに移れるのは、残された家族にとって大きな負担軽減になります。

③ 費用がとても安い
公正証書遺言を作成する場合は手数料がかかりますが、この制度の保管申請手数料は一律3,900円です。

④ 亡くなった後の通知システム
遺言者が亡くなり、相続人のうちの一人が遺言書の閲覧などを請求すると、他の相続人全員に「法務局に遺言書が保管されていること」が通知されます。 これにより、「遺言書があることを一部の人が隠す」といったトラブルを防ぐことができます。

  1. 知っておくべき注意点(デメリット)

利用する前に知っておくべき注意点もあります。

① 本人が法務局へ行く必要がある
この制度は、郵送や代理人による申請はできません。遺言者本人が法務局へ出向いて提出する必要があります。提出先は、以下のいずれかを管轄する法務局(遺言書保管所)です。(一部の出張所では保管システムが整っていないため扱っていません)
・遺言者の住所地
・遺言者の本籍地
・遺言者が所有する不動産の所在地

② 内容の有効性は保証されない
ここが一番の誤解ポイントです。保管官(法務局の担当者)は、氏名や日付の記載など「形式的なチェック」はしてくれますが、「遺言の内容が法的に有効か」「認知症などで判断能力があるか」までは判断しません。 そのため、せっかく預けても内容に不備があって「遺言が無効」になってしまうリスクは残ります。

③ 生前は誰にも見せられない
保管されている間(遺言者が存命中)は、遺言者本人以外は誰も遺言書の閲覧や有無の照会ができません。 これはプライバシーが守られるメリットである一方、家族に内緒で預けた場合、死後に誰も気づかない可能性がある(誰かが検索しないと通知も行かない場合がある)ため、遺言書を預けたことを信頼できる人には伝えておくことが大切です。(本人が預ける際に連絡して欲しい人を指定できます)

④ その他の注意として、システムで保管されるので書式が決まっている。
・A4サイズ
・余白を設ける(上側5ミリ以上、下側10ミリ以上、左側20ミリ以上、右側5ミリ以上)
・片面のみ記載
・各ページにページ番号を記載(1枚のときは1/1と記載)
・複数ページでも、とじ合わせない)

  1. 相続発生後の流れ

遺言者が亡くなった後、相続人は法務局に対して「遺言書情報証明書」の交付請求や閲覧請求を行うことができます。
この際、「相続人であることを証明する書類(戸籍謄本など)」が必要になります。 誰か一人が請求を行うと、前述の通り他の相続人全員に通知が届き、遺言の存在がオープンになります。

まとめ

法務局保管制度は、「公正証書遺言よりも安く、自宅保管よりも安全・確実」な、ちょうど中間に位置する制度です。
「手書きで気軽に書きたいけれど、安全性も確保したい」という方には最適な選択肢と言えるでしょう。
ただし、内容の法的な正確さに欠ける場合がありますので、正直申しますと、小職や専門家のアドバイスを受けながら作成することをおすすめします。

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任意後見制度
ひとりで決められるうちに、認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。「ご自身で選んだ人を決めておくことができる」ここがポイントです。詳しくは、杉本行政書士事務所までお問合せください。

著者行政書士杉本正宏
杉本行政書士事務所
大阪府豊中市

地元豊中市出身の行政書士です。
地域の皆様のお力になれるよう、豊中市役所近くの商店街に事務所を開設しました。
よろしくお願いいたします。

些細なことでも遠慮なくご相談ください

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